ポニーテールが夜に溶ける(アイドル短歌 乃木坂46)
8月30日、乃木坂46 ツアーファイナル、神宮球場。雨が降らなくてよかった。
未来がないな、と思った。いい意味でも悪い意味でも。今ここにいることがすべてでたった1回しかないそれぞれのこの夏にこの場所にいてくれて愛しいなと思った。
ずっとずっと続く希望も尊くて強いけど、限られた時間を燃やすのは、いつか終わりがあることを誰も口に出さないけど予期していることは、それはそれで美しいことだとわたしは思う。
アイドル短歌会、第3回のお題はまさに「乃木坂46」だった。時期もぴったり。
多分よく知らない人もイメージで読んでくれてて、それが逆にものすごくおもしろい。普段言葉にしてるわけじゃないのにみんな同じものを彼女たちに透かしてみているのがわかる。
この夜の意味を束ねてポニーテール 光の海で恋ははじまる
誰が何を言おうとここが生きる場所 もしもしトーキョー、明日も愛して
気づいたらずいぶん遠くにきちゃってさぁ 新幹線なら4時間なのに
唇をといて笑ってあくびして 黙ってないで、美人でいないで
胸にある愛のゲージが満ちたら消えます 次の奇跡は500年後に
その頬に爪を立てたらしゅうしゅうと空気がもれても驚くかなわたし
うそじゃない信じてほんとよ大好きよ あなたがいちばん、あなたもいちばん
10秒の逢瀬の先が初期化でもアンドロイドの君に会いたい
放課後の音楽室でねむろうか熱をピアノと半分こして
まつげにも髪にも触れないせめて影だけ 小指のつめがきれいよすきよ
明日こそ魔法の靴でかかとを鳴らす「おうちが一番」(…やっぱりやめる)