ときめきマシンガン

夢見がちな性格なので教えてほしい

エターナルサマーの終わり

夏が終わる。

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Free!-Eternal Summer-」、12話が本当に好きで好きで、今まで1期から見てきたすべての中で1番好きだ。ここまで見てきてよかった、と思った。この30分で今までのいろんなことに納得して、でもうまく言語化できない、最終話でどうなるかもわからない。感想でも考察でもないバラバラの熱でしかないけど、それでも今この段階の情念を書いておく。未来が未来なのはほんのすこしの時間だからね、一瞬で現在と過去になってしまうね。水曜日の夜がすごく楽しみでとてもこわい。


去年の夏から足掛け2年間、もやもやというほどではないけどわたしの中でいまいち釈然としなかったのは「七瀬遙の才能はホンモノなのか」ってところだ。そこにどうにも自信が持てなかったような気がする。普通、主人公の天才性を示すには何か明確なものを出すと思う。世界で活躍してたとか1年生なのにエースとか中学の頃全国大会優勝とか。

でも遙はそういう明確な何かはなく、基本的には周りの人の「ハルちゃんはすごいんだ」がすべてだったと思う。試合では結果を残すけど、それでも1期では地方大会までしか描かれてない。あまりに世界の半径が狭すぎる。ライバル・松岡凛はオーストラリア留学してたってところでまぁまだわからなくはないけど、それでも「地方大会」と「世界を目指す」の落差がありすぎていまいち納得感がなかった。だから「お前には才能がある」って言葉が空回って聞こえた。プレッシャーや抑圧に近いようなものにすら。

そして本人がそれについて何も語らない。否定も肯定もしないし、足を踏み出すようにも見えない。「俺は泳げればいいんだ」って言う、進路希望届にも「フリー」って書く。才能は眠らないけど、夢は追いかけなきゃ夢にならない。だからよくわからなかった。ちゃんとやる気出せよ!とかじゃなくて、今が彼にとってどういうフェーズなのかよくわからなかった。


12話、いちばん印象的だったのは遙の「もういい、俺が岩鳶にいるあいだ、お前がいろんなものを見ていろんな経験をしたことだけはわかった」ってセリフだ。ちょっと衝撃だった。選択した結果今に満足している(or満足しようとしている)、なのか、そもそも選択を拒んでる、なのか微妙だったけど、この発言で後者だってことがハッキリした。

縛り付けられてたとかじゃなくて、今までを否定するとか後悔してるとかじゃ全然なくて。優しくて誠実で周りに支えられてることをよく分かっているから、誰かを傷つけたり裏切ったりするように見える可能性があることは嫌だったんだろうなって思った。

高校生の頃って、何かを選ぶことは何かを捨てたり否定したりすることだと思ってた。でも今はそうじゃないって知ってる。つらいこともかなしいことも死ぬほど恥ずかしいことも超くだらなくて寝たら忘れるようなどうでもいいことも、全部ちゃんと血と肉になるって知ってる。無駄なことなんて全然ないって知ってる。

真琴も渚くんも怜ちゃんも「みんなハルちゃんのことが大好きなんだ」って手を変え品を変え何度も何度も何度も何度も言う。個人的に超嫌いな言葉の1つが「君のためを思って言ってるんだ」だけど、これを誰も1度も言わないでくれて本当によかった。まっすぐな愛はどれだけ人を救うだろう。この人たちのために、は100%本当だ。100%本当であることに絶対とっても誠実なのだ。

でも同時に、遙は現状を守るには「選ばない」しかないんじゃないかって思考にいく。そこに齟齬があってもどかしい。「大好き」はは今ここに一緒にいることだとか速く泳げることだとか美しく泳ぐ姿とかそんなレベルの話をしているわけじゃないのにね。


もう1つ、12話を見て、いつのまにか勘違いしてたことに気付いた。
七瀬遙の才能は「速く泳げること」じゃなかった。
「とにかく水が好きなこと、泳ぐのが好きなこと」なんだね。

そうだった、才能ってそういうものだった。夢は追いかけるものだけど、才能は選びとるものじゃない、残っていくものだ。誰に何を言われるでもなく絶対に逃れられないもの、仕事にするかとかそんなの関係ないもの。自分にとっては当然すぎてあえて意識すらしてない、わざわざ他人に褒められると「え、そんなことが?」ってなる部分。

わたしはずーーーっと物を書くことを考えてるし、目の前にあるものを感じた衝動をできるだけすべてテキストにしたいって思ってるんだけど、自分の中ではどうしようもない手癖だと長いあいだ思っていて「これ以外何もできない」って気持ちのほうが強かった。肯定されてびっくりした時のことをよく覚えてる。この悪い癖がプラスに思われることあるなんて考えたことすらなかった。だから物を書くことがうまいかはともかく、飽きない才能はあるのかもしれない、ってその時初めて肯定的に思った。

その才能を仕事にするとか金にするとか以前に、とにかくそれしかないのだ、最初からコントロールできる何かじゃなかった。そういうものがみんなある。自分じゃわからなくてもある。誰でも、自分の当たり前は他の人にとっては特殊能力なんだよ。


「『10で神童、15で天才、ハタチすぎればただの人』…ただの人まであと3年ちょっと」
「あぁ早くただの人になりたい」

1期の1話で彼は言ってた。1回水泳をやめてふわふわと何かの宣告をカウントダウンし続ける日々にはそう言ってた。夢なんてなくたって全然生きていけるんだ。夢があることで何か縛るなら何もないほうが全然ましだ。ていうかまず見つからないほうが普通だよ。でもねー、ただの人になっても、夢がなくても、人生は続いてくんだよ。残念なことにさー。

そう、どんなに未来を将来を憂いても18歳で人生は終わらないんだ。はっはっは。ざまーみやがれ。未来が長すぎるのは希望だし絶望だ。でも歳を重ねるのは楽しい。感情の引き出しが増えるから楽しい。ドラマティックな何かがなくたって偉大なる平凡が続いてくのはドラマなんだよ。

「最後の夏」なんてなくて、生きてる限り何度だって思い出は上書きされるんだ。でも特別な一瞬ではある。絶対にずっと覚えてる。何かがわかった瞬間とかいろんなことが一気に腑に落ちた瞬間とか、何度でも取り出して舐めて生きていける。


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プールを見て泳ぎたいなあって思った、っていうの超シンプルだけどすごくいいなと思った。オーストラリアにきてからずっとおどおどと凛ちゃんの後ろを歩いてた遙が、プールサイドでスタート台に向かうシーンで初めて前を歩くっていうのも、とってもいいと思った。

「泳ぎたい」、きっとこれまでもいろんなところで数えきれないくらい日々そう思ってきて、きっとこれからもずっとそう思い続けるんだろう。呼吸すらためらう苦しい空気の中で息を潜めてスタートを待って、周りの状況は肌で感じるしかないままがむしゃらに1人で戦って、1ミリの差を争うような切迫した時間、やっぱり遙さんは愛してるんじゃないかなって思う。誰かの夢の屍を踏んで、それでも強く生きることにちゃんとプライドと責任を感じていられるんだと思う。


出てくる子たち、みんな好きだな。ぐるぐる自問自答してて、誰かに手を伸ばして、いつか終わりがあることがわかってて。高校生は、卒業があるというのはそういうことだ。終わりがあることを肌でわかっていてそれでも今この瞬間が永遠になることを信じられるのはとっても美しいと思う。


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夏が終わる。終わるから永遠になるよ。

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